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   ~長い道のりのはてに・・・~
      
様々な視点からの音楽


ー目次ー


ー遠い昔からー
ー2人からー
ーパブロ・カザルスというチェロ奏者ー
ー馬頭琴演奏会から!-
ーCDを聞くという事についてー
ー音楽は進歩するのか?という疑問についてー
ー『ラ』は果たして『ラ』なのかー
ー留学・ウィーンに来てからー
ーウィーンの他の学校・大学のシステムー
ー大学の授業ー
ーグーテンベルクが音楽に与えた影響・日本語から見た音楽ー
ーグーテンベルクが音楽に与えた影響・印刷文化ー
ーリズムという言葉ー
ー解釈についてー
ー先生と言う存在ー


ーウィーンの他の学校ー


私は一年目の受験はせず、二年目は受験に失敗している。それで他の学校に通う必要性が出てきた。昔は良かったらしいけれど、今は滞在許可証(以下ビザ)の申請が難しくなっていて、ドイツ語学校にいるだけでは、オーストリアではビザが下りない。ちなみに、ウィーン音大研究科は下りるらしいが、科目履修生はおそらく下りない。(2012年までの情報)。

ゆえに、自然と他の学校に通う事になる。私はこのまる2年間で色々な事が学べた。外野は色々悪く言っていたが、私にとってこの2年間はとても貴重なものだった。


初めてドイツ語で授業を受けるとはどういうことかが分かったし、そういった授業を通じて中国の方や、韓国の方、生粋のオーストリア人や2世(3世だったかな)のオーストリア人の友人ができた。

これは色々な事を考えるきっかけになった。初めの内は全くドイツ語がわからなかったけれど、それでも中国の方の優しさ、韓国の方の優しさは、表し方がやっぱり違うんだ、という事が素直にわかった。文化の違いはやはり体験でしか学べない事が多い。何はともあれ、私にとっては初めての日本人以外のアジア圏の友人だった。


オーストリアという国がどういう国なのか、オーストリアの友人を通して学ぶ事もできた。本当は生粋だとか2世とか書きたくないけれど、敢えてここで書かせてもらったのは、それがオーストリアという国を知る上で必要だと思ったからである。ここではそういう事は詳しく書かないけれど、オーストリアがどんなところだったのか、もう少し広く言えば、ヨーロッパとはどんなところなのか、そういった地理的な感覚、または歴史上の出来事なんかもちょっとだけ見えてくるようになる。こういうことは学校の授業や、大学の授業でも決して学ぶ事ができない。留学をしないと分からない事だと思う。


ところで、こういった他の学校の全体的なレベルは?と聞かれれば高くないと答えざるを得ないのが残念ではあるけれ。それでも音大受験を目指していたり、音大を目指しているわけではないけれど、上手な人がいたりする。ビザの為に学校に籍だけ置いて、学校に来ない人もいる。人様の事なのでそれはそれで良いとも思うのだけれど、私自身はここで学べたこと、得た友人、その時仲良くなれた先生、そういった事に対して誇りに思うし、とても感謝している。



ー大学のシステムー



少しだけ私が受けた入試の内容について書いておこうと思う。


入試の内容は、日本とそうは変わらない。実技以外の楽典やソルフェージュ、そういったものも、日本で学んだ方ならまず大丈夫だと思う。楽典の試験はそんなに難しくはない。というより簡単だった。確かに、最近は難しくなっているとは聞くけれど、すごく難しくて困る事は無いと思う。


実技試験は結構長い。伴奏科はまずソロの試験がある(ウィーン音大ピアノ科の方は免除されている)。ベートーベンのソナタ第6番1楽章(再現部までだったか、全部弾いたかが定かではない)と、2楽章の途中まで、ショパンのエチュードop.25-12、そしてブラームスの間奏曲一曲を弾いた。実のところ、この一次試験を通過する方が難しいと思う。
それに通過すると、伴奏の試験がある。2,3曲弾いて、それが終わるとすぐに初見の試験があったと思う。これで合否判定が出る。




そんなこんなで私は大学に入ったわけだけど、そこからもまた苦労の連続だった。ようやく落ち着いて物事を考えられるようになったのは、実際一年を過ごしてからだったと思う。


どうしてかというと、入学式の類はないし入学に関するオリエンテーションもないからだ。もしかしたらあったのかもしれないけれど・・・いや、多分無いと思う。そういったものに出た、という人は見たことがない(交換留学生の方たちはあるらしい)それでもなんとなく、ここに行けば良いとかは分かってくるし、こういう手続きをしてください、という手紙はやってくるからまだ親切かもしれないけれど・・・

また、大変なのは先輩方と若干勝手が違うという事もありえるからである。システムは結構すぐに変わったりする。一番嬉しかったのは、最初は一年で1400ユーロくらいだった学費が、選挙費のみの30ユーロくらいになったからだ。実質無料だった。

ビザ関係も結構すぐ変わる。今では初回のビザ申請は場所が決まっているらしいが、私が最初に申請した時は、場所は住んでいる場所によって異なっていた。(これも2012年までの情報)



卒業式もない。もちろん卒業試験はある。これは大層難しいらしい。らしい、というのは、私は日本で言えば学部卒業程度の試験を受けてから帰国したので、卒業試験は受けていないから、これから書く事は自分で調べた事、人から聞いたことが基になっている。ちなみに、私が受けた試験も結構大変だった。20分ソロを弾いて、20分伴奏を弾くというものだった。

ちなみに試験は容赦なく落とされる(笑)たまたま見かけた卒業試験の最初の試験(卒業試験は非公開と公開の二度ある)は、5人くらい受けていて、3人くらい落とされていた。


卒業試験は、年に何回か行われる。先生と相談はするものの、基本的には自分で卒業試験の時期を決めて、申し込むようになっている。必要な書類に記入していき、窓口で何個かある希望日を選んで提出する形だったと思う。だから、公開の方の卒業試験の日は、何人も一緒に受ける事はまずないと思われる。(時期にもよるとは思うけれど)。


ウィーン音大の試験は、私が受けた試験と卒業試験の計2回しかない(非公開と公開を数えるなら3回)。だから、最初の内は試験曲に追われる事はないだろう。
卒業しようと思うと、大体一年くらいかけて準備するようだ。プログラム的には、2時間~3時間くらいのもの(もっとかもしれない)を提出して、1時間半~2時間くらい弾くのが卒業試験だったと思う。つまりは、1人で演奏会ができるレパートリーを用意するということになる。


お休みはものすごく多い。1年の内、夏休み3か月、冬休み1か月、クリスマス休暇2週間(1週間かな)オースター休暇2週間。大体こんな感じだったと思う。ただ、長期休暇は長いけど、向こうはそんなに旗日は無かったと思う。

なんで長期休暇が多いのかなぁと私は思ったけれど、ある学友が、先生にコンサートなりなんなりをする為にお休みが多いというような事を言われた、と言っていた。お休みは本当に休む部分と、マスタークラス、演奏会、そういったものに費やされるようだ。




次は少し授業について触れようと思います。次へ