伴奏という広い世界に足を踏み入れてから何年が経ったのだろうか。人生で一番最初に伴奏というものに触れたの中学校の行事として毎年行われていた合唱コンクールだった。当時からピアニストになりたい、そう願っていた私は、学校でもピアノにさわれるのを嬉しく思っていただろう。伴奏と意識してピアノを弾いたわけではもちろんないが、とにもかくにも、これが私の最初の伴奏だったはずだ。
伴奏という広い世界と書いたが、この”広い”というのはどういう意味かを少し説明したいと思う。
伴奏と一口に言っても、それこそ合唱の伴奏から、ヴァイオリン、ヴィオラ、コントラバスなど弦楽器の伴奏、フルート、クラリネット、ホルン、トランペット、サックス、といった管楽器の伴奏、私の専門でもある歌の伴奏、指揮者の練習。バレエの伴奏などもあるだろう。これらは全てピアノという楽器で行われるが、ピアノ協奏曲、ヴァイオリン協奏曲などはオーケストラを伴奏としているし、民族音楽には打楽器や、また、名称がちょっとわからない楽器も伴奏として使われている。手拍子なんかもあるだろう。ちょっと酔ったおじさんがみんなの手拍子で踊ってる、一昔前はよくありそうなことだったと思う。そういうものまで含めるのが伴奏という言葉であると思う。
伴奏はそれがあることで、する側も、される側も楽しめる反面、どちらか片方がないと、途端に全てが崩れてしまう、そういう世界なのだと思っている。
ー私にとっての伴奏観ー
私にとって伴奏とは一体なんだろう?共演者の方が楽しく歌えることだろうか?それともきれいな前奏、間奏、後奏を弾くこと?それとも自分のやりたいことを伴奏でもやること?どれも正しいような気がする。最近私の周りでは伴奏は大事なのよね!っという声が聞こえてくる。とても嬉しいことだけれど、実際をみるとそうでないような気もする。確かに色々な本に書いてあるような仕打ち、かばん持ちをさせられるような事はもうないだろうし、曲順が決まっていないとか、本番前に半音下げて弾いてくれ、と頼まれる、そういうことはもうほとんどないと思う。意見を求められることもとても多くなったし、また、伴奏を専門にしている方も増えていくのではないだろうか?実際私の学友はみんなとても上手だった。
私はこれから自分の経験、体験からのテクニック、私が習ってきたこと,様々な本からの知識など、色々書いていくつもりだけれど、一番大事なのは、結局のところ、自分がやりたい事を伝えるには、間違えないで弾く、指がまわる、何時間でもピアノの前に座れる集中力、サーカスのような驚異的な芸、そういうことではないし、歌い手さんでいえば、高い声が出る、声が大きいとか、そういうことではないと私は確信している。
ー目次ー
ーLektion1ー ーまず手始めにー
ーLektion2ー ー歌ってみようー
ーLektion3ー ー処方箋としてのブレスー
ーLekiton4ー ー前置き・本題ー
ーLektion5ー ー本題その2
ーLektion6ー ー有節歌曲ー
ーLektion7ー ー伴奏が好きな理由ー
ーLektion8ー −伴奏が好きな理由2−
−Lektion9ー −伴奏について最近思う事ー
−Lektion10ー ーF.シューベルトー
−Lektion11ー −歌曲に取り組むー
ーLektion12ー −歌曲に取り組む・その2−
ーLektion13ー −拍についてー
−Lektion14ー −ドイツ歌曲をグループ分けしてみるー
ーLektion15ー −詩の解釈と音楽表現ー
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